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【時事解説】小規模企業振興の4本柱
記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター
2015年4月に中小企業庁から「小規模企業白書」が公表されました。
これは、小規模事業者が中小企業の約9割を占め、地域の経済社会・雇用を支える極めて重要な存在であるという認識の下、2014年6月に成立した小規模企業振興基本法に基づいて今回初めて作成された年次報告書です。
1999年に改正された中小企業基本法が、「成長発展」を基本理念として掲げているのに対し、小規模企業振興基本法では、成長発展のみならず小規模事業者の「事業の持続的発展」を基本原則として位置づけています。
これは、売上、利益、従業者数などの規模の拡大を必ずしも求めるのではなく、技術の向上や雇用の維持に努めることも積極的に評価するものです。
こうした事業の持続的発展という基本原則にのっとり、小規模企業振興基本法では、小規模企業の振興に関する施策を講じる際の基本方針を、①需要に応じた商品の販売、新事業展開の促進、②経営資源の有効な活用、人材育成・確保、③地域経済の活性化に資する事業活動の推進、④適切な支援体制の整備の4つに定めています。
そして4つの基本方針の実現に向け、2014年10月に閣議決定された「小規模企業振興基本計画」では、①需要を見据えた経営の促進、②新陳代謝の促進、③地域経済の活性化に資する事業活動の推進、④地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備といった4つの目標が設定されています。
2015年版小規模企業白書においては、具体的にどのような事例が紹介されているのでしょうか。
①需要を見据えた経営の促進の観点からは、自らの強みを認識した需要の創造・掘り起こしの事例や、経営計画策定により具体的に効果を発現した事例、信頼関係を活用し地域需要の掘り起こしに取り組んでいる事例など計11事例が紹介されています。
例えば、理容・美容バサミの製造、販売を行うA社は、理容・美容バサミの修理・メンテナンスを行うにあたり、修理前のハサミの状態・問題点、クセ、日常の手入れ方法などをきめ細かなカルテのような形で記述し顧客に提供することで需要の創造・掘り起しを実現しています。
②新陳代謝の促進の観点からは、起業・創業に成功した事例、農商工連携や産学官連携により製品開発に取り組んでいる事例、異業種転換や新事業展開により販路開拓に取り組んでいる事例など計10事例が紹介されています。
③地域経済の活性化に資する事業活動の推進の観点からは、地域社会への貢献性に意義・価値観をみいだしている事例、地域ブランド化に取り組んでいる事例、にぎわいの創出に取り組んでいる事例など計11事例が紹介されています。
④地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備の観点からは、経営指導員による支援の事例、よろずコーディネータによる支援の事例など計10事例が紹介されています。
これらの小規模企業白書で紹介されている事例では、経営者のヒューマン・ヒストリーも交えつつ、取組みの紹介がなされているので、ぜひご一読ください。(了)
※小規模企業白書について詳しくは以下ホームページをご参照ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/syoukiboindex.html
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)