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オンライン診療の現状と今後の展望
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
最近は、デジタル化が盛んにいわれ、その波は医療分野にも押し寄せています。
その中、オンライン診療へ注目が集まっています。
オンライン診療とは、患者がスマートフォンやタブレット、パソコンなどを使って、自宅等にいながら医師の診察や薬の処方を受けるサービスを指します。
オンライン診療が注目される理由は多岐にわたりますが、1つとして高齢社会の課題解決があります。
2043年、高齢者の数がピークに達するといわれています。
高齢者の場合、自動車の運転が困難な人も多く、病院に出向くのに本数の少ないバスで長い時間をかけて向かわなければならない地域もあります。
総じて通院には手間がかかります。
その中、通院の負担が少ないオンライン診療の必要性は高まると予想されます。
また、能登半島地震では道路が寸断され病院の多くが被害を受けました。
災害時は、不調を感じても医療機関へ通うのが容易ではないケースが生じます。
オンライン診療は震災関連死の未然防止など、災害医療の面でも期待されています。
ただ、普及率は、2020年で約9%、2021年には15%と増加しましたが、まだ普及には課題があります。
普及の足かせとなっているものの1つが、診療には、ズームのようなビデオ会議の環境が整っていなければならず、環境整備が行き届いていないことが挙げられます。
とくに、高齢者の場合、デジタル機器の扱いに慣れていない人もおり、診療をはじめたくても、操作が困難という高い壁があります。
他方の医療機関も、オンライン診療のシステムを導入するには、機器や環境整備など、手間とコストがかかります。
期待が高まるオンライン診療ですが、普及には課題が残っています。
デジタル化が進み始め、オンライン診療へも注目が集まってきています。
きっかけはコロナ禍でオンライン診療の実施要件が緩和され、導入する医療機関が以前よりも増加したことが一つの要因としてあります。
オンライン診療は通院の負担が少ない点がメリットです。
ただ、オンラインですと、触診や聴診、その他必要な検査が実施できないので、診療で医師が得られる情報に限りがあります。
そのため、医療界にはオンライン診療は対面診療の補完と位置づける考えが根強くあります。
こうした課題に対して様々な施策が始まっています。
一例を挙げると「診療カー」のサービスがあります。
インターネットで予約すると、医療機器を備えた診療カーが患者の自宅まで来ます。
車には看護師が同乗しており、医師がビデオ通話で診療し、看護師が医師の指示に従い患者を処置する形になっています。
そして、薬の入手もオンライン化が始まっています。
利用者にとって、オンラインで診療してもらっても、薬の入手が困難だとオンライン診療のメリットが半減してしまいます。
こうした流れの中、アマゾンジャパンやウーバーイーツジャパン、TOPPANなど、処方箋薬の宅配に力を入れる企業も現れています。
オンライン診療の懸念としての一つはセキュリティの問題です。
診療の内容は暗号技術によって安全に守られており、病気の情報が外部に漏れないようセキュリティ対策が施されています。
ただ、将来的に量子コンピュータによって、現在の暗号技術が破られる恐れがあります。
そこで、PQCといって、量子コンピュータでも解読が困難とされる方式も開発されています。
オンライン診療は、課題を一つずつ解決している途上にあります。
今後、さらに使い勝手の向上が進み、普及を期待したいところです。
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)