目次
1. 生命保険料を払ったとき
2. 死亡保険金を受け取ったとき
3. 満期保険金を受け取ったとき
1.「生命保険料を支払った場合」
所得税や住民税には、「生命保険料控除」というのがあり、それぞれの税金が安くなります。
扶養控除と同じ「所得控除」というものの一種です。
「税金安くなるから、保険入って」なんて言われたら、要注意ですよ。
必要な保険に、必要なだけ入るのが重要ですから。
ちょっと話がずれてしまいました。すいません。
10月ごろになると、保険会社から「控除証明書」と言うのが、送られてくると思いますが、それを年末調整や、確定申告の時に、提出することになります。
「生命保険料控除」は、一般の保険と個人年金保険との2つに分かれています。
控除証明書にはどちらに当てはまるのか載っていますが、見落としたための間違いが、よくあります。
税務上の個人年金保険は、払い込みが10年間以上や、受取開始が60歳以上で受取期間も10年間以上などといろいろと要件があります。
変額個人年金などは、税務上の個人年金保険でなく、一般の保険になります。
23年以前に加入の保険の場合、どちらも控除額は、10万円以上保険料を払っていればそれぞれ5万円になり、あわせると最高10万円です。
10万円払っている人も50万円払ってる人も、それぞれ引ける額(所得控除の額)は、同じです。
10万円税金が減るのではなく、その後、税率をかけるので、人によって(税金の対象の所得によって)税金が減る額は、変わります。
くれぐれも10万円戻ってくるのではないので、ご注意ください。
なお24年以降加入の保険から、控除限度額が
一般生命保険料控除が、4万円
介護医療保険料控除も 4万円
個人年金保険料控除も 4万円
全体の所得控除限度額が、所得税12万円、住民税7万円となっています。
2.死亡保険金を受取った場合
「死亡保険金」の受取ったときの税金は、どうなるでしょうか?
(1)所得税・住民税がかかる場合
(2)相続税がかかる場合
(3)贈与税がかかる場合
上のように3パターンに、分かれます。
ややこしいでしょ・・・。
税務署は、これで担当部門が変わります。
亡くなったから保険金をもらったのに、税金の種類が、変わってしまうんですね。
↓これによるんです。↓
(一)契約者 普通は保険料を払っていた人。
(実質の保険料負担者は誰かが重要です。)
(二)被保険者 保険のかかっていた人。
(三)保険金受取人 保険金を受けとった人。
契約時などに指定しますよね。
この三つの組み合わせで、かかる税金が変わってしまいます。
この三つの言葉は、保険の税金を考える上で非常に重要です。
今後も、よく出てくるので、おさえておいてほしいところです。
それでは、具体的に見ていきましょう。
(1)所得税・住民税がかかる場合です。
保険料を払っていた人が、保険金を受け取った場合が所得税の対象になります。
例としては、
夫が保険料を払っていて、
妻が亡くなり、
夫が死亡保険金を、受け取った場合です。
つまり、保険料を払ってた人と、保険金を受け取った人が同じです。
所得税の計算では、「一時所得」として計算します。
(1)受け取った保険金から、払った保険料をまず引きます。
(2)さらに50万円引きます。
(3)それを半分にします。
この計算で出てきた数字が、一時所得です。
税金の源泉徴収(天引き)は、されませんのでご自身で計算し、必要があれば確定申告することになります。
意外と、申告しないといけないことを、知らない方もおられるようです。
税務職員時代よく「知らんかった」などと言われましたが、それでは免除になりませんので・・・。
税務署から呼び出しのハガキが来ると、余計なもの(加算税や延滞税)を払わないといけないので、ご注意ください。
次に、死亡保険金で(2)相続税がかかる場合です。
保険料を払っていた人が亡くなって、死亡保険金を受けとった場合が相続税の対象になります。
一般に保険契約者と、被保険者が同じという場合です。
例としましては、
夫が保険料を払っていて、
夫が亡くなったために、
奥さんが保険金を受け取った、という場合です。
相続人が保険金を受け取った場合は、法律上の相続人の数により非課税(相続税の対象額を減らせる)の制度があります。
死亡による場合で、収入保障保険のように毎年や毎月受取る保険の場合は、年金受給権として、評価します。
また受け取り時にも雑所得して所得税の計算がされます。
最後に、死亡保険金で(3)贈与税がかかる場合です。
保険料を払っていた人と被保険者(亡くなった人)が別で、保険金の受取人も別という場合です。
例としては、
夫が保険料を払い
妻に保険をかけていて、妻が亡くなった
保険金は、子供が受け取った、という場合です。
ようは、払ってた人は生きてるけど、他の人が保険金を受け取った場合です。
結局、お金をあげたのと同じでしょ、ということのようです。
贈与税は高いですよ。
上の例で、3,000万円の保険金を受け取った場合を考えてみます。
3,000万円―110万円(基礎控除)=2,890万円が税金の対象になります。
2,890万円×50パーセント(税率)-225万円(控除額)=1,220万円
払ってきた保険料は、計算に関係ないし、税率は高いため、なんと1,220万円の贈与税になります。
1,000万円の保険金の場合でも、贈与税は231万円になります。
知らずに、このケースのような例になってる場合は、本当にこのケースの契約でいいか、考えたほうがいいでしょう。
3.「満期保険金を受け取った場合」
(1)所得税・住民税がかかる場合
(2)贈与税がかかる場合
満期保険金の場合は、この2種類の税金に分かれます。
考え方は、死亡保険金とほぼ同じです。
契約者(保険料を払っていた人)と、満期保険金を受け取った人が、同じかどうかで判定します。
(1) 所得税・住民税がかかる場合
保険料を払っていた人が、満期保険金を受け取った場合です。
自分で払って、自分で満期保険金を受け取った場合です。
この場合は、一時所得と言う所得税の対象になります。
(年金として受け取った場合は、雑所得となります)
計算方法は上に書いたので簡単に言うと、払った保険金より増えた分から、50万円引きます。
それを半分にしたのが、一時所得の金額です。
増えた額が、50万円以下なら、税金の対象はないということになります。
50万円引いて、半分が税金の対象ということで、たいてい預金利息より有利ということです。
よくある間違いで、満期のお金を据え置いたとき、というのがあります。
受け取ってないので申告はいらん、などという間違いです。
据え置いても、受け取ったのと同じです。
満期の年のものとして、申告してください。
満期になると、保険会社などから、掛け金がいくらで、配当がいくらというような手紙が来るので、大切においといてください。
これがないと税金の計算ができませんので。
(2)贈与税がかかる場合
これは、保険を払った人と、保険金を受け取った人が違う場合です。
父が払って、子供が受け取る場合などです。
上にも書いたように、贈与税は高いです。
1,000万円の保険金で、贈与税が231万円です。
昔の保険で、親が子供の名前で契約したもので、子供には、保険を話していないというのがあります。
子供は保険を知らないのに、税務署から申告がないというハガキがきて、あわてるという場合があります。
このような保険がある方は、後々たいへんですよ。
早く、FPや税理士に相談しましょう。